年齢によって眠りが変わる?
「枕が合わないと眠れない」という人がいる一方、「枕なしでも全く問題ない」という人もいて、枕に対する関心の度合いはそれぞれ異なります。
しかし枕に対する関心違いには年齢が大きく関わっています。
メーカーが行ったアンケート調査によれば
- 「枕がどうしても必要」52.8%
- 「枕なしでも眠れる」あるいは「枕をしない」46.0%
しかし、年代別に結果を見てみると…。
対象 | 枕がどうしても必要 | 枕なしでも眠れるor枕をしない |
---|---|---|
小・中学生 | 29.7% | 70.0% |
20~39歳 | 55.0% | 45.0% |
40~59歳 | 63.0% | 37.0% |
60歳以上 | 87.0% | 13.0% |
椎骨と椎骨の間には、椎間板という軟骨があり、この軟骨がクッションの役割を果たし、自由に首や背中を曲げるための基点となっています。
この軟骨の成長は20歳でストップし、その後は老化の一途をたどる。
加齢とともに本来のやわらかさを失い硬くなり、40歳を過ぎるとその老化が急激に加速し、水分を失い磨耗していきます。
そうなると体型にあったかたちの枕で首を固定しないと熟睡できなくなってしまうのです。
ですから、長年使用していた気に入りの枕でも、首の老化がすすむと合わなくなることもあるのです。
年齢を取ると共に、首に違和感が出始め、枕が気になり始めることが多い。
というのを覚えておいてください。
枕は頭にするものではなく、首を支え、首と頭を安定させるためにする物
首の上には体重のおよそ8%の重みのある頭が乗っています
(50キロの人で4キロ)
この重さを1日中支えることになる訳ですから、これだけでも首は常にダメージを受けていると言えます。
きゃしゃな体つきの人が多い日本人にとって、『肩こり』というのは国民病のようになっています。
特になで肩の人は首や肩に負荷がかかり易く、腕の重さも肩こりの原因になってしまいます。
従来、肩こりというのは女性よりも男性に多くみられる症状でした。例えば車の運転は、周囲の確認やその走行スピードなど首に負担がかかり易く、また重い荷物の運搬、前かがみの姿勢などで行う作業も首や肩に負担がかかり易い。
男性の方がこうした状況で過ごす時間が多かったためです。
しかし、ここへきて女性の社会進出が進み、元々骨格的に劣る女性の首の老化は深刻化してきています。
しかし西洋人のように筋肉が発達していると肩こりという症状を訴える人は少ないようで、日本語の“肩こり”に相当する単語が無いので、単に“肩に痛みがある”という表現を使う事になり、この概念自体を伝えるのが難しいのです。
ですから、首を支えると言う概念がないためか、欧米風のホテルはやわらかいダウンの枕が多いのかも知れませんね。
背骨で変わる?
背骨というのは椎骨(つい骨)という丸い骨が24個連なって出来ています。
頭蓋骨のすぐ下から7つ目までを頚椎(けいつい)、その下の胸のあたりの12個を胸椎(きょうつい)、腰の部分の5つを腰椎(ようつい)と呼びます。
椎骨(つい骨)の中で最も枕の影響を受け易いのが首の部分の頚椎です。
この頚椎の周りには重要な神経が集中しているので、合わない枕をしていると頚椎が圧迫され、神経に悪影響を及ぼすことになりかねません。
これらの神経はそれぞれ支配領域が決まっていて、
頚椎の1~3番目までは首から上の後頭部、
4、5番目は肩甲骨から肩、
5、6番目は親指側の手の先、
6、7番目は小指側といった具合です。
ですから、例えば
1、2番目の椎骨が強く圧迫されると頭痛が、
4、5番目なら肩こりが、
6、7番目なら手の小指側にしびれが起きたりするのです。
もともと、4本足で歩いていた人類の祖先が2本足で歩くようになり、それまで屋根のハリのような役目を果たしてきた背骨は突然大黒柱の役目を負わされることになりました。
2足歩行を始めてから大脳が急速に発達したこともあり、
脊椎には大変な負担がかかることになったそうです。
脊椎がまっすぐな棒状であったなら重みがまともにのしかかることになり、脊椎の最下部である腰椎は押しつぶされてしまいます。
が、生命の神秘なのでしょうか。
その不自然な2足歩行を続けていくうちに重力に逆らわず、バランスのとり易い体へと人間は変化していったのです。